住まいを借りる契約の流れ
部屋探しの前に予算と家賃相場を調べる
1.予算と希望を整理する
部屋探しでは、自分や家族にとって何が大切かを決めておくことが重要です。すべての希望を満足させる物件を見つけることはなかなか難しいですから、どのような条件を優先するのかを決めておかないといつまでたっても物件を決められなくなってしまいます。
まず、いくらまでの賃料なら無理なく支払えるかということが重要になります。一般的に家賃の上限は手取り収入の30%程度に抑えておくとよいと言われています。これは収入額にもよるので、ある程度の目安として考えればいいでしょう。
その予算内でライフスタイルを考慮し、何を優先させるのかを考えます。職場に近いことか、多少通勤時間はかかっても住環境のよい所を望むのか。築年数が古くても広い住まいがよいのか、多少狭くても新しい物件がよいのか、または「バス・トイレ別」だけは譲れないといった条件を挙げて、優先順位を付けていきます。そうすることで物件探しをスムースに進めることができます。
2.家賃の相場を調べる
部屋探しを始める際には、予算を勘案しながら自分が希望する地域の「家賃相場」を調べることが必要です。なぜ家賃相場が必要かというと、例えばワンルームマンションの相場が「7万円台」の地域で「5万円台」の物件を探しても、見つかる可能性は低くなってしまうからです。自分が毎月支払える予算と希望地域の家賃相場を比べてみて、予算が足りないときには、希望条件を譲歩して家賃相場がもっと安い別の地域で探す方が近道と言えます。
物件探しについて
1.インターネットなどの物件情報から探す
インターネットによる賃貸情報収集は広範囲の情報を素早く収集できますし、賃料相場を把握するのにも非常に便利です。アットホームなどの不動産情報ポータルサイトは物件数が豊富ですから、希望エリアで多くの物件情報の中から条件に合った候補物件を楽に見つけることができます。このほか、賃貸物件情報誌や新聞折込み広告、地域フリーペーパーなどから情報を取得する方法もあります。
2.不動産会社の賃貸情報
不動産会社が持っている物件情報は、上記のような不動産ポータルサイトや情報誌にすべて掲載するわけではありません。例えば広告費を使わなくてもすぐに借り手がつきそうな物件や、情報を入手したばかりまたは新築で情報公開する手前の物件などを保有している可能性があります。このような物件は不動産会社に直接問い合わせて確認することで、条件が合えば紹介してもらえることがありますから、不動産会社の自社サイトの情報を確認したり、実際に店舗に出かけて聞いてみることも有効です。ただし、店舗に行く際はスムースに相談を受けてもらうために、事前にメールや電話で相談内容を伝えた上で予約することが必要になります。
入居の申込みから契約まで
1.入居申込みについて
物件を内見して気に入った場合、不動産会社に「入居申込書」を提出することになります。この入居申込書の書式は不動産会社によって異なりますが、記入項目は住所・氏名・年齢・職業・年収など、おおむね共通しています。入居申込書はあくまで入居意思を確認するための書類であって、賃貸借契約書ではありません。したがって、入居申込書を提出した後でも、入居申込みをキャンセルすることが可能です。提出する前に、この点を不動産会社に確認しておくとよいでしょう。ただし、軽はずみな申込み・キャンセルは不動産会社に迷惑をかけることになるので、申込みはよく考えた上で行うようにしてください。
2.入居審査について
貸主は入居希望者が提出した「入居申込書」をもとに、その人を入居させるかどうかを判断します。これを「入居審査」といいます。入居審査にかかる時間はおおむね一週間程度です。この入居審査で貸主が入居をOKしないケースもあります。貸主からすれば、自分の大切な資産であるマンションやアパートを他人が使うわけですから、できるだけ経済的に安定している人や生活上のルールを守る人に貸したいと考えるのは当然のことと言えるでしょう。
入居審査に通るためには、まず入居申込書を正確に漏れなく書くことが大切です。また、不動産会社に出向いて内見するときから身なりにも気を配り、清潔感がある服装などを心がけるとよいでしょう。
3.入居申込み時の「預かり金」について
入居申込書を提出する際に、数千円から家賃の1ヵ月分くらいの金銭を不動産会社に預けるケースがあります。このお金は「預かり金」「申込証拠金」「申込金」などと呼ばれています。そのまま無事に賃貸借契約が結ばれたら、預かり金は借主が支払う諸費用に充当される場合が多いです。申込み後に何らかの理由で契約に至らなかった場合は、基本的に預かり金は全額返還されます。その際にトラブルにならないように、「預かり証」を必ず発行してもらいましょう。
また、預かり金を納入してもあくまでも申込み段階であることに変わりはありません。
4.契約までに用意する書類について
(1)契約までに用意する書類一覧
賃貸借契約までに個人で用意する書類は次のとおりです。
・身分証明書
・住民票
・印鑑と印鑑証明
・収入証明
・連帯保証人の住民票など
保証会社を利用する契約の場合は連帯保証人が不要になるなど、個別で異なる部分はありますが、おおむねこのようなものが必要だと考えておきましょう。
(2)契約までに用意する費用一覧
賃貸借契約までに用意する費用項目と、目安になる金額は次のとおりです。地域ごとや物件ごとに異なりますので、あくまでも目安として捉えてください。
●礼金…家賃の0~2ヵ月分
●敷金…家賃の1~2ヵ月分
●仲介手数料…家賃の1ヵ月分以内(別途消費税)
●前家賃…家賃と管理費の1ヵ月分
●火災(損害)保険料…5千円~2万円
(3)住民票の用意について
賃貸借契約の際には、入居する人の住民票を提出するのが一般的です。したがって、賃貸借契約の日取りが決まったら、できるだけ早く入居する人(自分だけでなく入居する家族全員)の住民票を用意しましょう。住民票は、市区町村役所またはその出張所で交付してもらいます。
(4)収入証明書の用意について
賃貸借契約の際には、入居する人の収入証明書の提出も必要になります。収入証明書とは、会社員の場合は会社から年に一度交付される「源泉徴収票」が該当します。雇用形態によっては毎月の給与明細書でもよいことがあるので、わからない場合は不動産会社に確認しましょう。また、自営業の場合は、税務署に確定申告をした際に交付される「確定申告書の写し」や「納税証明書」が必要になります。銀行印が必要な場合もあるので、これについても確認するといいでしょう。
(5)連帯保証人について
連帯保証人とは、万が一借主が家賃を滞納した際に未払いになった家賃債務を弁済する義務を負う人のことです。連帯保証人になってもらう人には連帯保証書に必要事項を記入してもらうほか、連帯保証人自身の住民票や収入証明書、印鑑証明書が必要になるので、こちらも早めに依頼をして承諾を得たら必要書類を準備してもらえるようにお願いしておきましょう。
(6)重要事項説明(書)について
重要事項説明書とは、物件概要や契約内容を詳しく記載した書類です。不動産会社は、賃貸借契約を結ぶ前にこの重要事項説明書を入居者に交付し漏れなく説明する法的義務があります(宅地建物取引業法)。重要事項説明は契約書と重複する内容も含んでいますが、非常に重要な行為だと認識しましょう。
重要事項説明は必ず宅地建物取引士の有資格者が行います。その際は資格証の提示も義務付けられています。重要事項説明を受けて、よくわからないことやもう一度聞きたいことがある場合は、その場で質問してください。そして、最終的に全て納得してから、契約手続きに入ってください。契約書を取り交わして入居した後で思っていたのと違ったといっても、基本的にはその意向は通りません。
(7)賃貸借契約について
重要事項説明が終わったら賃貸借契約を締結します。賃貸借契約書には重要事項説明書と重複する部分が多々ありますが、その相違がないかも含めて契約書の内容もしっかりと確認する必要があります。もしも不明点があるなら、すぐに不動産会社に確認しましょう。賃貸借契約書が取り交わされた後では、契約内容の変更やキャンセルは原則的にできなくなるからです。例えば、契約を結んだが後日気が変わり、入居前に契約のキャンセルを申し出たとします。入居前であっても契約は執行されていますから、基本的には礼金・仲介手数料は返還されません。敷金は戻ってきますが、前納した家賃がどうなるかなどは状況に応じた判断になるでしょう。
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